高額な商品やサービスは、DM(ダイレクトメール)を見ただけですぐに購入・契約されるとは限りません。自動車、M&A、業務システム、高価格帯の商品などでは、価格への納得感や信頼性、導入後のイメージなど、検討に必要な情報を段階的に伝える必要があります。本記事では、高単価商材の販売や商談につながったDM事例を紹介しながら、高額な商品・サービスだからこそ意識したいターゲット設計やクリエイティブ、営業との連携について解説します。
アシックス商事では、ウォーキングシューズ「PEDALA RIDEWALK」のリニューアルに合わせ、前モデル購入者を中心とした顧客へDMを送りました。
対象商品は約3万円と、スニーカーのカテゴリーでは比較的高価格帯の商品です。そのため、単に新機能を伝えるだけではなく、購入前に商品を疑似的に体験してもらうことを重視しました。
圧着展開型のDMには、ほぼ原寸大の商品画像を掲載。足入れ部分を切り抜くことで、自宅にいながら足を入れて試着するような体験ができる仕掛けにしています。
さらに中面では、スタイリングイメージだけでなく、開発者による解説やリニューアルポイントなども紹介。高価格帯の商品を購入するうえで必要となる情報を加え、価格への納得感を高めました。
ターゲットについても、前モデル購入者、スニーカー購入履歴者、上位会員などを細かくセグメント。過去のDM反応データも活用して送付対象を選定しました。
その結果、前年同時期に実施した別モデルのDM施策と比較して購買者数142.9%を記録。EC購入率も通常の2~5%台を上回る8.1%となり、設定していた販売計画数を上回る販売につながりました。
高単価商品では、価格を下げるだけでなく、「なぜこの価格なのか」「実際に使うとどのような価値があるのか」を体験と情報の両面から伝えることが重要だと分かる事例です。
参照元:全日本DM大賞|第40回 金賞・グランプリ「試着気分!スニーカー“体感”DM」(https://www.dm-award.jp/winner/40th/gold_gp.html)
freeeでは、上場企業へクラウド会計ソフト「freee 会計」の導入を促進するため、経理部門を対象としたDMを実施しました。
会計ソフトは一度導入すると頻繁に切り替えるものではなく、全日本DM大賞の事例紹介ではリプレイス周期を3~5年程度としています。そのため、DMを送ってすぐ契約してもらうことよりも、将来のシステム見直し時に候補として思い出してもらうことを重視しました。
ターゲットは上場企業の経理部門。決算業務が落ち着くタイミングを狙い、経理担当者が日頃使っているテンキーを模したチロルチョコを箱に詰めて送りました。
単なる会計ソフトの営業DMではなく、「決算お疲れさまでした」というねぎらいからコミュニケーションを始めています。
同封冊子では、freeeを利用する上場企業のロゴなどを掲載し、「中小企業向けのサービス」というイメージを払拭。上場企業でも利用されていることを伝え、導入時の安心材料を提示しました。
DM送付後にフォローコールを行った結果、通常のコールドコールと比較して受付突破率は5倍以上となり、DM認知率も50%を超えました。
高額・高関与なBtoB商材では、DMだけで契約を求めるのではなく、記憶に残る接点を作り、その後の営業活動につなげる方法が有効です。
参照元:全日本DM大賞|第37回 金賞・グランプリ「テンキーチョコで、上場企業の決算疲れをfreee!」(https://www.dm-award.jp/winner/37th/gold_gp.html)
M&A仲介を手掛けるfundbookでは、新規顧客へのアプローチとして、一社一社に内容を変えたDMを実施しました。
M&Aは、経営者にとって会社の将来を左右する重要な意思決定です。一般的なサービス案内だけでは、自社にどのようなメリットがあるのかを具体的にイメージしにくい商材でもあります。
そこで、通常は商談時に渡す「M&A提案書」をあえてDMに封入。M&Aを実施した場合に想定されるメリットを企業ごとに変えて提示する完全可変型のDMを制作しました。
「M&Aをご検討ください」という一般的な営業DMではなく、受け取った経営者が自社の場合をイメージできる具体的な提案から接触しています。
高単価商材では、商品の特徴を並べるよりも、「自分・自社にとってどのような価値があるのか」を個別に示すことが検討を始めてもらうきっかけになります。
参照元:全日本DM大賞|第40回 入選「専用の提案書を先にお届け!究極のターゲティングDM」(https://www.dm-award.jp/winner/40th/winning.html)
医療・介護業界のM&A支援を行うCBホールディングスでは、介護・福祉事業者へM&Aや事業売却を案内するDMを実施しました。
M&Aは、価格だけで比較できる商品ではありません。売却への不安や将来への迷いなど、経営者がさまざまな心理的ハードルを抱える商材です。
そこで、派手な営業広告のようなデザインではなく、定型封筒より大きめながら広告色を抑えた封筒を採用。中のパンフレットも、経営者同士の会話を読むような対話型の構成にし、自然に最後まで読み進められるようにしました。
そのうえで、すぐにM&Aの契約を求めるのではなく、「無料の企業価値診断」へ誘導。DM発送後にテレマーケティングを組み合わせることで、高いアポイント率を実現したと紹介されています。
高単価商材では、いきなり契約を求めるより、無料診断や相談など、検討を始めやすい中間地点を用意することがポイントです。
参照元:株式会社スルーパス|【KIKUDM】事例 株式会社CBホールディングス(https://www.kikudm.com/case/cb-holding)
アウディ ジャパンでは、高級車「Audi A8」のお披露目イベントへの来場を促すためにDMを実施しました。
Audi A8は当時1,000万円を超える価格帯の商品であることから、一般的な販促DMのように情報量や派手さで目立たせるのではなく、商品価格にふさわしい上質なブランド体験を重視しています。
外装には透明なスリーブケースを採用し、中には告知コピーと1枚のSDカードだけが見えるシンプルなデザインを採用。装飾を抑えることで、A8の高級感や洗練されたブランドイメージを表現しました。
高単価商材では、値引きやキャンペーン情報を詰め込むのではなく、商品そのものの世界観や「所有する価値」を伝えることも重要です。
参照元:全日本DM大賞|第29回 金賞「Audi 5月フェアDM The new Audi A8 debut」(https://www.dm-award.jp/winner/29th.html)
高単価商材は、DMを見ただけで即決されるとは限りません。
例えば、自動車、住宅、M&A、業務システムなどでは、比較検討、商談、相談、試乗、見積もりといった複数のステップを経て意思決定されます。
そのため、DMの役割を「売ること」だけに限定せず、次のような行動へつなげます。
購入の一つ前、二つ前の行動をDMのゴールに設定することが、高単価商材では重要です。
高額な商品では、「安いから買う」という訴求が適さないケースがあります。
購入を検討する人が知りたいのは、なぜその価格なのか、その金額を支払うことで何を得られるのかという点です。
例えば、次のような情報を使って価格への納得感を高めます。
アシックス商事の事例でも、約3万円の商品について開発者の解説やリニューアルポイントを紹介し、価格への納得感を高めています。
高額になるほど、購入後に失敗したくないという心理が強くなります。
そのため、メリットだけを伝えるのではなく、判断を裏付ける情報が必要です。
特にBtoBでは、担当者が上司や決裁者へ説明できる情報を用意することも重要です。
高単価商材では、購入前に実物を十分に体験できない場合があります。
そこでDMで、使用シーン、導入後の状態、ビフォー・アフターなどを具体的に見せます。
アシックス商事のように疑似試着できる仕掛けを使ったり、商品写真を大きく掲載したりする方法もあります。
高単価商材では、不特定多数へ大量発送するよりも、購入・契約可能性の高い人へ絞った方が費用対効果を高めやすくなります。
例えば、次のような情報を活用します。
高単価商材ほど、DM一通あたりにコストをかけても、対象を厳選することで投資しやすくなります。
まだ商品を知らない人と、すでに見積もりを取っている人では、必要な情報が異なります。
例えば、検討初期なら課題やメリットを伝え、比較段階なら事例や差別化要素、検討後期なら個別相談や見積もりへ誘導します。
すべての顧客へ同じDMを送るのではなく、検討段階に合わせて内容を変えましょう。
高単価商材では、「誰にでも送っている広告」よりも、「自分・自社のために作られた提案」の方が関心を持ってもらいやすくなります。
例えば、次のような情報を変更できます。
fundbookの事例のように、企業ごとにM&A提案書の内容を変える方法もあります。
高価格帯の商品を案内するDMが、安価なチラシのように見えると、ブランドイメージと合わない場合があります。
必要に応じて、次のような仕様を検討します。
ただし、高級な紙を使うこと自体が目的ではありません。商品・ブランドの価値やターゲットに合っていることが重要です。
高単価商材では、DMを見た後に人による説明が必要になるケースが多くあります。
そのため、DM発送後に次のようなフォローを行います。
freeeではDM後のフォローコール、アシックス商事では店舗スタッフ向けの接客トークまで用意しており、DMとその後の顧客体験を一体で設計しています。
いきなり契約を求めず、まず相談してもらいます。
住宅、M&A、コンサルティング、業務システムなど、顧客ごとに条件が異なる商材に適しています。
CBホールディングスの企業価値診断のように、自分・自社の場合にどのような結果になるのかを確認してもらいます。
「サービスを買う」よりも、「自分の場合を知る」という行動の方がハードルを下げやすくなります。
自動車、住宅、高価格帯商品などでは、実物を体験してもらうことが購入判断につながります。
DMでは、体験そのものへの期待を高め、店舗や会場へ誘導します。
「同じ課題を抱えていた企業がどう変わったか」を伝えることで、導入後をイメージしてもらいます。
BtoBでは、同業種や同規模企業の事例が判断材料になります。
高級車やブランド商品では、一般的なキャンペーンよりも「特別な顧客として招待されている」という体験が適している場合があります。
試乗会、内覧会、発表会、VIPイベントなどへ誘導します。
高単価の商品ほど説明事項が多くなりますが、すべてをDMへ掲載すると重要な情報が埋もれてしまいます。
DMでは、次の内容を優先します。
詳細なスペックや料金表は、Webページや商談へ分けます。
高額だからといって、価格に触れずに期待感だけを高めると、商談後に予算が合わないことがあります。
価格を掲載するかどうかは商材によりますが、少なくとも価格帯に見合う価値や、導入によって得られるメリットが分かる構成にしましょう。
高級車、住宅、旅行、ブランド商品などでは、機能説明だけでなく世界観も重要です。
商品写真、利用シーン、紙質、封筒などを組み合わせ、商品を購入した後の体験を想像してもらいます。
高単価商材では、「今だけ激安」「絶対お得」といった表現が、かえって信頼感を損なう場合があります。
ターゲットやブランドに合わせ、落ち着いたコピーやデザインを選ぶことも重要です。
BtoBやM&A、業務システムなどでは、DM発送後に営業担当者が電話します。
何もない状態から営業するのではなく、「先日お送りした資料について」と共通の話題を作ってから会話を始められます。
DMでは興味喚起に必要な情報へ絞り、詳しい事例、機能、料金などは専用LPで説明します。
二次元コードから企業TOPページではなく、DMの内容に対応したページへ誘導しましょう。
自動車や住宅、家具など、実物を見ることが重要な商材では、DMから店舗・ショールームへ誘導します。
すぐに商品を売るのではなく、セミナーや相談会を通じて専門性を伝え、その後の商談につなげます。
二次元コードの読み取り、問い合わせ、資料請求など、最初の反応を確認します。
DM発送者のうち、店舗や無料相談へ進んだ割合を確認します。
BtoBでは、問い合わせだけでなく、実際に何件の商談が発生したか確認します。
最終的に何件が購入・契約したかを追跡します。
高単価商材では、反応件数が少なくても、一件の受注金額が大きければ施策として成立する場合があります。
そのため、DM制作費や発送費だけではなく、最終的な売上・粗利に対して施策がどの程度貢献したかを確認しましょう。
購入可能性の低い人まで広く送ると、DM制作・発送コストだけが増える可能性があります。
高単価商材では、対象を絞り、一通あたりの企画やパーソナライズにコストをかける方法も検討します。
高額な商品を数字やスペックだけで判断できるとは限りません。
利用後の価値、安心材料、ブランド、サポートまで含めて伝えます。
検討期間の長い商材では、DMを読んですぐ契約を求めても行動につながりにくい場合があります。
無料相談、見積もり、試乗、セミナーなど、検討を進めるための中間地点を設けます。
高級感を重視するブランドに派手な割引チラシを送るなど、商品イメージとDMが一致していないと、ブランド価値を損なう可能性があります。
興味を持っても、その場で問い合わせまで行動しない人もいます。
BtoBでは営業担当者から連絡する、店舗ではスタッフがDM内容を把握しておくなど、DM後の対応まで準備しておきましょう。
高単価商材では、誰に送るかが特に重要です。
購入履歴、顧客ランク、企業属性、商談履歴などをもとに、送付対象を整理できる会社か確認します。
単にDMを大量発送した実績ではなく、自動車、住宅、BtoBサービス、金融、M&Aなど、検討期間が長い商材の制作事例があるか確認します。
紙質や加工を豪華にするだけでなく、商品が持つ価値や世界観を理解したうえでクリエイティブを提案できる会社が適しています。
顧客ごとに商品、コピー、画像、提案内容などを変更できれば、より自分向けの提案として受け取ってもらいやすくなります。
DMだけを制作するのではなく、その後の架電、LP、相談、店舗接客など、購入・契約までの顧客行動を考えられる会社か確認します。
二次元コードの読み取り数だけでなく、商談数、購入数、受注金額などまで確認し、次回施策を改善できる会社が望ましいです。
高単価商材のDMでは、「DMを見てすぐ買ってもらう」のではなく、購入や契約に必要な判断材料を届け、次の検討行動へ進んでもらうことが重要です。
実際の事例でも、疑似試着で商品を体験してもらう、企業ごとの提案書を送る、経営者の不安に寄り添う、ブランドに合った上質な世界観を表現するなど、高単価商材だからこその工夫が行われています。
施策を実施する際は、購入可能性の高いターゲットを絞り、価格に見合う価値や信頼できる根拠を伝え、無料相談、商談、来店、試乗など、検討を一段階進めるCTAを設定しましょう。
また、高単価商材ではDM発送後の営業や店舗対応も成果を左右します。DM単体ではなく、購入・契約までの顧客体験全体を設計することが大切です。
DM制作会社によって、顧客分析、パーソナライズ、数値改善、ブランド表現、営業との連携など得意分野は異なります。
当メディアでは、目的別に「作る」に強いDM制作会社を紹介しています。高単価の商品・サービスの商談や購入につながるDMを制作したい方は、自社の課題や商材に合う制作会社を比較する際の参考としてお役立てください。
制作会社はそれぞれ得意にしていることが違い、
自社の目指す成果を得意としている会社に依頼をすることがDM施策の効果最大化のための第一歩です。
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