一度商品を購入したり、サービスを利用したりしたものの、その後一定期間利用がない「休眠顧客」。新規顧客を獲得するだけでなく、過去に接点のある顧客へ再び利用してもらうことも、売上を伸ばすための重要な施策です。しかし、休眠顧客へ以前と同じ商品案内を送るだけでは、再購入や再来店につながらない場合があります。本記事では、実際に休眠顧客の掘り起こしにつながったDM(ダイレクトメール)事例を紹介しながら、再購入・再来店を促すためのポイントを解説します。
実店舗とECサイトを展開する恵比寿ワインマートが、しばらく購入のない元優良顧客へ向けて実施した休眠顧客向けDMです。
対象となったのは、以前は購入していたものの、約3か月ECで購入がなかった顧客です。
単に「またワインを購入してください」と案内するのではなく、DMに掲載した二次元コードから抽選へ参加すると、割引価格で購入できるクーポンが必ず当たる仕組みを用意。さらに、特別価格の商品を紹介しました。
「二次元コードを読み取る→抽選する→クーポンを受け取る→商品を見る→購入する」という一連の流れを設計し、クーポンを持った状態で商品を見てもらうことで購入意欲を高めています。
その結果、抽選参加率は56.6%、実際の商品購入率は11.7%を記録。クーポンを取得した人の利用率も36%となりました。
休眠顧客への施策では、値引きを伝えるだけでなく、DMを受け取った人が思わず参加したくなる体験と、そのまま購入まで進みやすい導線を作ることが重要だと分かる事例です。
参照元:全日本DM大賞|第39回 金賞・グランプリ「バイヤー認知でファンを獲得!ROAS179%のDM/心理をくすぐり購入率11.7%を記録した休眠DM」
TSUTAYA三軒茶屋店では、利用が途絶えていた休眠顧客の再来店を促すため、特別マイバッグを付けたDMを実施しました。
単なる割引券や「もう一度ご来店ください」という案内だけではなく、受け取った人にとって魅力のある特典をDMそのものに組み込んだ点が特徴です。
その結果、休眠顧客の56%を呼び戻すことに成功し、第31回全日本DM大賞で金賞を受賞しました。
休眠顧客の再来店を促す際は、値引きだけではなく、「これを受け取ったから久しぶりに行ってみよう」と感じてもらえるような、来店する理由を作る方法もあります。
DMそのものを特典や体験に変えることで、広告として見てもらうだけでなく、実際の行動へつなげた事例です。
参照元:全日本DM大賞|第31回 金賞「休眠顧客のインサイトを突いた特別マイバッグ付きDMで、56%の呼び戻しに成功!」
アシックスジャパンでは、過去に商品を購入したものの、その後一定期間購入がなかった顧客へ、買い替えを促すパーソナライズDMを実施しました。
特徴は、すべての休眠顧客へ同じ商品を紹介するのではなく、過去の購入データから一人ひとりの愛用シューズを把握し、それに合わせておすすめ商品を変更したことです。
以前どの商品を購入していたかを起点に、「次に選ぶならこのシューズ」という提案を行いました。
その結果、DMから商品を購入した顧客の50%近くが、DM上でおすすめされたシューズを購入。継続顧客の維持につながりました。
休眠顧客は、新規顧客とは違い、過去の購入情報を持つ顧客です。以前の購入商品や好みを活用すれば、「あなたに向けた案内」であることを具体的に伝えられます。
参照元:全日本DM大賞|第38回 銀賞「あなたの愛用シューズに合わせた パーソナライズDM」
大幸食品では、年5回実施していたハガキDMに反応しなくなった顧客を対象に、仕様とクリエイティブを変更した休眠顧客向けDMを実施しました。
これまでと同じハガキを送るのではなく、初めて封書式を採用。さらに、吉日として知られる「一粒万倍日」を企画の軸にしました。
対象日に注文すると、すりごまが必ず1袋以上もらえるくじを用意し、注文対象日が分かりやすいようカレンダーを模した封筒にしています。
その結果、注文電話が相次ぎ、過去最高となる受注率24.6%を達成しました。
休眠顧客へ再び購入してもらうためには、「商品を買ってください」と伝えるだけでなく、季節や記念日、キャンペーンなどと結び付けて、「なぜ今、買うのか」という理由を作ることもポイントです。
参照元:全日本DM大賞|第39回 銅賞「過去最高の受注率24.6%を達成!一粒万倍日DM」
スポーツクラブを運営するコパンでは、コロナ禍で休会していた会員へ、店長の手書きメッセージを添えたDMを送りました。
休会中の顧客に対して、値引きや入会キャンペーンを前面に押し出すのではなく、以前利用してくれていた顧客との関係性を意識したコミュニケーションを行った点が特徴です。
その結果、DMを受け取った顧客の8.2%がDMに付けられた施設利用特典を利用し、顧客からお礼の手紙も届きました。
休眠顧客は、企業やサービスをまったく知らない人ではありません。過去に利用してくれたことへの感謝や、担当者からのメッセージを伝えることで、「販売のためのDM」ではなく「関係を再開するための連絡」にできます。
参照元:全日本DM大賞|第36回 入選「コロナ休会者に向けた店長手書きメッセージDM」
休眠顧客とは、過去に商品を購入したりサービスを利用したりしたものの、その後一定期間利用が途絶えている顧客を指すのが一般的です。
ただし、「何か月利用がなければ休眠」という共通の基準があるわけではありません。
例えば、毎月購入される食品と、数年に一度買い替える商品では、通常の購入サイクルが異なります。そのため、自社の商品やサービスの利用周期をもとに休眠顧客を定義することが重要です。
最後に購入した日だけでなく、それまでの顧客行動も確認します。
例えば、同じ「1年間購入がない顧客」でも、以前毎月購入していた人と、過去に一度だけ購入した人では、再購入する可能性や適切なアプローチが異なります。
休眠顧客へメールを送り続けていても、開封されていなかったり、他のメールに埋もれていたりする場合があります。
紙のDMを利用することで、それまでとは異なるチャネルから顧客へ接触できます。
メールだけでは反応しなくなった顧客へ、ブランドや商品を思い出してもらうきっかけとして活用できます。
新規顧客との大きな違いは、休眠顧客には過去の購入・利用データがあることです。
例えば、次のような情報をDMへ活用できます。
アシックスジャパンの事例のように、過去の購入内容から一人ひとりに合った商品を紹介することもできます。
休眠顧客は、一度自社の商品やサービスを知っています。
そのため、新規顧客向けのように基本的なサービス説明を繰り返すよりも、以前から何が変わったのかを伝えることが有効です。
「以前とは違うから、もう一度試してみよう」と思ってもらえる理由を作ります。
「以前ご利用いただいたお客様限定」「過去に○○をご購入いただいた方へ」など、既存顧客だから受け取れる案内にできます。
新規顧客向けのキャンペーンとは異なる特典や企画を用意することで、以前の関係性を生かしたコミュニケーションができます。
休眠顧客を一つのグループとして扱うのではなく、顧客データをもとに分類します。
休眠期間で分類する場合
購入回数で分類する場合
購入商品で分類する場合
同じ休眠顧客でも状況によって再購入する理由は異なるため、顧客を分類したうえでDMの内容を変えることが重要です。
次に、顧客がなぜ購入や利用をやめたのか仮説を立てます。
理由によって、適切なアプローチは異なります。
単に購入がないという結果だけを見るのではなく、「なぜ離れた可能性があるのか」を考えて訴求を作ります。
休眠顧客が以前利用しなくなった状態から何も変わっていなければ、同じ案内を再度送っても戻ってこない可能性があります。
そこで、次のような新しいきっかけを用意します。
大幸食品の事例では「一粒万倍日」を企画のきっかけにしています。
企業が売りたいからDMを送るのではなく、顧客側にも「今もう一度利用する理由」がある状態を作りましょう。
長期間利用していない顧客に対して、いきなり以前と同じ購入を求めると、行動のハードルが高い場合があります。
例えば、次のようなオファーを検討できます。
商品や顧客の状況に合わせて、もう一度利用しやすい入口を用意します。
DMを読んで興味を持っても、購入や予約までの手続きが複雑であれば離脱してしまいます。
二次元コードや専用URLなどを使い、次のような行動へ直接誘導します。
恵比寿ワインマートの事例のように、DMから抽選、クーポン、商品閲覧、購入までの一連の流れを設計することも重要です。
最後の利用からそれほど時間が経っていない顧客は、商品やブランドをまだ覚えている可能性があります。
そのため、次のような訴求が考えられます。
以前購入した商品とのつながりを示し、自然に次の購入を促します。
長期間利用していない顧客は、企業やブランド自体を忘れている場合があります。
そのため、すぐに商品を売るのではなく、まず思い出してもらうことから始めます。
以前は継続的に利用していた顧客には、過去の関係性を意識した訴求が適しています。
一般向けの値引きDMではなく、「大切な顧客へ個別に連絡している」と感じてもらえる企画を検討します。
値引きやクーポンは、再購入のハードルを下げる方法の一つです。
ただし、割引だけを理由に戻ってきた顧客は、キャンペーン終了後に再び利用しなくなる可能性があります。
値引きと同時に、商品やサービスそのものの価値も改めて伝えましょう。
過去顧客だけが購入できる限定商品や、新商品の先行案内を送る方法があります。
「以前利用したことがあるからこそ届く」という特別感を作れます。
TSUTAYA三軒茶屋店の事例のように、特典そのものを再来店のきっかけにする方法もあります。
単なる販促品ではなく、ターゲットが「欲しい」「使いたい」と感じられるものを考えることが重要です。
BtoBや高価格帯の商品・サービスでは、値引きが適さない場合があります。
その場合は、次のような情報を再接触のきっかけにできます。
「売り込み」ではなく、顧客にとって役立つ情報を届けることで関係を再開します。
「最近購入されていません」「しばらく来店されていません」と強く指摘すると、顧客によっては監視されているような印象を持つ場合があります。
「以前ご利用いただいたお客様へ」「お久しぶりです」など、自然に関係を再開する表現にしましょう。
購入商品や利用店舗などを活用できる場合は、過去の体験を思い出してもらいます。
例えば、「以前○○をご購入いただいたお客様へ」と伝えることで、なぜ自分にこのDMが届いたのかを理解しやすくなります。
一度利用をやめた顧客にとって、「以前と何が違うのか」は重要な判断材料です。
新商品、サービス改善、店舗リニューアル、新しいプランなどがあれば、紙面の中でも目立たせます。
休眠顧客との接点を、いきなり購入だけに結び付ける必要はありません。
特に長期間利用していない顧客には、ブランドを思い出してもらう、商品をもう一度知ってもらう、店舗へ来てもらうなど、関係を再構築することを最初の目的にする方法もあります。
紙のDMで商品やブランドを思い出してもらい、その後メールからECサイトや予約ページへ誘導します。
DMとメールで同じ内容を繰り返すのではなく、紙では興味喚起、メールでは行動導線と役割を分ける方法があります。
DMからLINE公式アカウントの再登録や友だち追加を促し、その後の継続的なコミュニケーションにつなげます。
一度DMで復活した顧客と、再び接点が途切れないようにする施策として活用できます。
BtoBや高価格帯サービスでは、DM発送後に電話でフォローする方法があります。
過去に商談や契約があった企業であれば、「以前ご利用いただいたサービスについて、新しいご案内をお送りしました」と会話を始められます。
DMでは「今もう一度利用する理由」を簡潔に伝え、詳しい商品情報やキャンペーン条件は専用LPで説明します。
過去顧客専用ページを用意すれば、一般的な新規顧客向けページとは異なる訴求もできます。
DM発送後に、二次元コードの読み取り、問い合わせ、クーポン利用など、設定した行動を取った割合を確認します。
DMへの反応数 ÷ DM発送数 × 100
DMを送った顧客のうち、実際に再購入した人の割合を確認します。
再購入者数 ÷ DM発送顧客数 × 100
店舗型サービスの場合は、DM発送後に実際に店舗へ戻ってきた顧客の割合を確認します。
専用クーポンやDM持参特典などを利用すると、DM経由の来店を把握しやすくなります。
自社で「休眠」と定義していた顧客のうち、再び通常の利用状態へ戻った顧客の割合を確認します。
単発の購入だけを「復活」とするのか、その後一定期間利用が続いた場合に復活とするのか、事前に定義しておきましょう。
休眠顧客施策では、一度だけ再購入したかではなく、その後も継続して利用しているかを見ることが重要です。
「一度買わせる」ではなく「再び継続顧客になってもらえたか」まで追跡することで、掘り起こし施策の本当の成果を確認できます。
最後の購入時期、購入商品、購入回数、顧客との関係性によって、適切な内容は異なります。
顧客データを使える場合は、休眠顧客を分類して訴求を変えましょう。
割引は再購入のきっかけになりますが、値引きがなくなった時点で再び離れてしまう可能性があります。
「なぜこの商品をもう一度使う価値があるのか」も同時に伝えます。
以前商品やサービスに不満があって利用をやめた顧客に、以前と同じ内容を送っても反応しない可能性があります。
改善点や新しいサービスがある場合は、以前との違いを伝えましょう。
過去にも見た商品紹介をもう一度送るだけでは、再び利用する理由になりにくい場合があります。
新商品やキャンペーン、買い替え時期など、「今だから伝える情報」を用意します。
休眠顧客が一度商品を購入しただけで安心すると、再び休眠してしまう可能性があります。
再購入後にも、メール、LINE、次回購入案内などで適切にフォローし、継続利用につなげましょう。
休眠期間、購入回数、購入商品などを分析し、どの顧客から優先的にアプローチするべきか整理できる会社か確認します。
単に保有リストへ一斉発送するのではなく、顧客データからターゲットを設計できる会社が適しています。
アシックスジャパンの事例のように、顧客の購入履歴によって紹介する商品やコピーを変える方法があります。
顧客ごとの商品画像、コピー、クーポン、二次元コードなどを変更できるか確認しましょう。
休眠顧客施策では、クーポンを付けるだけでなく、「なぜ今戻るのか」という理由作りが重要です。
顧客心理や過去の購買行動を踏まえて、特典や企画そのものから提案できる会社が望ましいです。
DMを読んだ後のECサイト、専用LP、メール、LINEなども含めて、再購入までの導線を設計できるか確認します。
紙面だけを制作するのではなく、その後の顧客行動まで考えられる会社が適しています。
DMの反応率だけでなく、再購入率、復活率、その後の継続率まで分析できるかを見ます。
発送して終わるのではなく、どの顧客・企画・オファーが復活につながったのかを分析し、次回施策へ反映できる会社を選びましょう。
休眠顧客の掘り起こしDMで重要なのは、「以前のお客様へもう一度商品を売る」のではなく、「顧客との関係を再開する理由を作ること」です。
実際の事例では、過去の購入商品に合わせておすすめ商品を変更する、顧客心理に合った特典を用意する、意味のある日に購入する理由を作る、担当者から個人的なメッセージを届けるなど、休眠顧客だからこそできるコミュニケーションが行われています。
施策を実施する際は、まず休眠顧客を一括りにせず、休眠期間、購入回数、購入商品などで分類しましょう。そのうえで、利用しなくなった理由を考え、「以前と何が変わったのか」「なぜ今戻るのか」を伝えることが大切です。
さらに、DMから再購入・再来店までの導線を分かりやすくし、一度復活した後も継続利用につなげるフォローを行いましょう。
DM制作会社によって、顧客分析、パーソナライズDM、オファー設計、クリエイティブ、Webとの連携など、得意分野は異なります。
当メディアでは、目的別に「作る」に強いDM制作会社を紹介しています。休眠顧客の再購入・再来店を増やしたい方は、自社の顧客データや課題に合う制作会社を比較する際の参考としてお役立てください。
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